雑誌原稿:問題行動を見せる子どもの心理と対応
2012.03.16 Friday 16:39

*雑誌:「児童心理」2011年10月臨時増刊号<思春期のこころ>に書いた記事の掲載 

問題行動を見せる子どもの心理と対応

1.はじめに
 思春期になると、一部の子どもに、迷惑行為や校則違反、不良グループへの参加など、非行の芽生えともいえるような問題行動が見られるようになる。
 鋭い目つきで悪態をつくなど、周囲の大人や指導者に素直に従う姿勢が乏しく、「かわいげのない」態度が前面に出てくる。指導や叱責も効果があまりあがらず、次第に問題行動の程度も悪化していく。愛情や受容が基本であることには違いないが、個々の具体的場面では、彼らをどのように理解し、対応していけば良いのかは戸惑うことが多いのではないだろうか。


続きを読む >>
| ふじかけ | 非行カウンセリング | comments(3) | trackbacks(0) | pookmark |
ひったくり問題の「いま」
2009.10.09 Friday 22:49
 今夜、NHKのテレビ番組「ご近所の底力」で、ひったくりを取り上げていた(録画を忘れた!)。

 もともと、「ひったくり」は、圧倒的に大阪で発生していた。それが2000年近くになって、全国の諸都市で一斉に「ひったくり」が発生した。私が、「「現代ひったくり事情」(新曜社)」を上梓したのは、この「ひったくり」(第二期)ブームに対処するためであり、ちょうど、2000年であった。
 全国で、防止キャンペーンが行われ、それなりの効果があがったように思われた…。私も「ひったくり」の講演会や記事コメントなどで、多少貢献した?

 ところが、今年に入ってから、再びメディアの電話取材をわずかながらも受けるようになった。というのも、再びひったくりが増えてきたというのだ。いわば「ひったくり」(第三期)ブームの到来というわけだ。

 せっかくなので、私の私見をここに記しておきたい。

 「現代ひったくり事情」では、ひったくりの特徴を、3つあげた。
 第1に、技術がいらない、思いつきで行える。
 第2に、グループの場合、ひったくりを介して、交遊体験が得られる。
 第3に、被害者と対面することがなく、走り過ぎるために、被害者のダメージを実感できない。すなわち、罪責感を味わうことを回避できる。

 さて、第三期ブームについても、”ひったくり”の基本的な特徴は変わらないと私は考えている。

 不況や社会の閉塞状況が続くなか、外側からみれば、手軽な財産犯として、再度、「ひたくり」現象が始動し始めたということになる。また、内側(心理的)からみれば、ひったくりに走る若者たちが、刹那的、即物的な感覚、せっぱつまった感覚を非常に高めてしまっているということではないか。
(これらは、上記、第1に重なる。)
(また、不況にしろ、刹那性、ひっ迫感にしろ、それが異常に高じて、ひったくりが激増しているとすれば、ブーム第二期との比較において、上記、第2の集団非行が減り、加害者の年齢が上がっていると予想する。)

 被害者レベルでの対策は、意外と簡単ではないかと思う。
 それは、防犯の意識、姿勢を持っているということがあれば、加害者側のほうで避けてくれる。
 第二期のころ、通販グッズの会社から、ひたくり防犯ブザーの「推薦の言葉」の依頼を受けたことがあった。しかし、取られてから対応するのは愚である。ひったくり防止ネットのように、取られる前にアピールするのが大正解なのである。
 実は、(上記、第3に重なるが)ひったくり犯には、対決的な姿勢が弱く、強盗犯とは決定的に異なる。被害者に防犯意識があると感じると、ひったくりに及ぶことができない。

 それでは、なぜ再びひったくりがここにきて増えてきたのか。ブーム第三期の原因はなんなのだろうか。現時点で、私は、2つのことを考えている。
 ひとつは、不況や社会の閉塞感、そして若者の精神状態が、よりいっそう悪化してきたということである。それは、リーマンショックなど、ここ数年の社会情勢をあげれば説明がつく。
 もうひとつは、ブーム(第二期)に盛り上がったひったくり対策感覚の衰退である。警察の警戒。地域や個々人の防犯意識や対策は、先にも述べたとおり、単純なかたちでひったくりの抑止につながる。しかし、それが定着すれば持続するが、一定の期間を経て、形骸化したり、衰退したりすると、持続せず、たやすく再燃するのではないか。もっとも、これとて、ひとつめの経済問題と相互に作用しているといえなくもないが…。
| ふじかけ | 非行カウンセリング | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
薬物乱用者の「こころ」(3)
2009.08.15 Saturday 16:41
交遊を求め、一体感を求める現代人
 

 心理テストにも表れたように、最近の薬物乱用者は、その奥深いところの心理では、交遊を求め、連帯を味わおうとしている。しかし、生身の等身大の交遊関係は築けずにいる。薬物を媒介にしなくてもいろいろな社交や連帯の機会はあるはずであるが、ある若者にとっては、大麻や覚醒剤の煙を吸うことが格好のそれとなっている。

 互いに許容し合い、ルーズに連帯し合い、明るいハイな気分で、退行的な一体感を味わえる独特な
魅力があるのである。そこでは、疎外状況を解消しようと依存性を高めたり、人から見劣りしないように背伸びをしたりしながら、薬物に向かっている。おしゃれな流行であったり、カジュアルな風俗であったり、気軽さが前面に出やすいものの、その裏側に隠されている心理を見るならば、疎外・閉塞状況をなんとかして紛らわそうとしている孤独な人物像が浮かび上がってくる。

 かつての注射型の覚醒剤乱用者のように、反社会的な価値観を身につけて犯罪者としての生き方を続けている人に比べれば、犯罪性、非行性は軽微な面がある。しかし、法律を犯してまで、人との連帯を求めたり、自分の有能感を確認しようとするところに生き方としての危うさがあり、気軽な動機とはいえ、深刻な社会不適応の入り口へとつながっていることに間違いない。

 彼らが求めるものの核心部分が連帯と一体感であるとするならば、それらを薬理効果や薬物文化の中で感覚的、せつな的に味わうことのむなしさを悟らせ、それに代わる連帯や一体の経験を、家庭や地域社会、一般社会の中で得させていくことが何よりも重要なことになる。

                         <やや尻切れトンボながら、ここらへんで、終わり>
| ふじかけ | 非行カウンセリング | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
薬物乱用者の「こころ」(2) 
2009.08.15 Saturday 16:04
 最近の薬物乱用のどの群にも、抑制・依存型が出現している。

 これは、現代の薬物乱用者あちが、集団に群れることを求め、薬物を通して連帯感を味わおうとする姿を示しているもんと思われる。単に乱用場面を共にすることすることに限らず、非合法の薬物文化を共有していることでの連帯感というのもあるのであろう。
 
 特に意外であったのが、大麻乱用群に関して、抑制・依存型が100%の出現になっていることである。もともと大麻には、先鋭性を誇示する顕示的な側面があったはずであるが、こうしたテスト次元から眺めるとそうした顕示的な面が現れず、現在においては大衆化が進んでいることがうかがわれる。

 また、覚醒剤(吸引)群と併用群において、顕示・流行型が同じような比率で見られた。ここからは、まず併用群がかたちにおいては「覚醒剤(吸引)群」と「大麻群」の中間にあったが、心理においては、「覚醒剤(吸引)群」に近似しているということがわかる。おそらくは、大麻という入り口から入ったかもしれないが、心理的には、覚醒剤(吸引)が主になっているということでえあろう。

 また、覚醒剤の薬理効果が興奮系であることに関連して、大麻のそれに比べ、より活動力や集中力を求めようとする人が覚醒剤に親和しやすく、乱用している集団の一部を形成しているのである。

 一方、覚醒剤(注射)群では不信・攻撃型が中心で、深刻な不適応状態にあることを示しており、かたち(客観指標による検討;論文前半で扱ったが、本ブログでは省略)の上でもそうであったように、他の群とタイプの違うことを示している。
| ふじかけ | 非行カウンセリング | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
薬物乱用者の「こころ」(1) のりピー騒動に触発されて
2009.08.15 Saturday 15:08
  最近、芸能界から、一般大学生まで、薬物犯罪の報道が目立つ。韓流俳優チュ・ジフンもそうだし、最近では、酒井法子もそうだ。そこには、法律問題を中心に、同情と、非難の情緒的な反応が目立つように思う。
 私自身、かつて薬物非行・犯罪の人たちをカウンセラーとして面接していた経験から、これまでいくつもの評論や論文を書いてきたが、平成7〜9年ころ、一気に大麻事件が増え、また吸引型の覚醒剤事件がそれを追うように増えた時期に、まとめた記事のダイジェスト(「心理テストから見た薬物乱用者のこころ」の項目のみ)を紹介したい。
 (出典:薬物乱用の「かたち」と「こころ」藤掛明、「月刊少年育成」491号;8−17p)
 
「心理テストから見た薬物乱用者の「こころ」」

 薬物乱用の非行少年たちを、大麻群、覚醒剤(吸引)群、併用群、覚醒剤(注射)群の分け、その典型例を各群7名を選び、ソンディ・テストという本格的な投影法テストを実施し、その結果を分析した。




 「抑制・依存型」とは、自己抑制を表すサインと依存を表すサインが同時に出現したグループである。これは周囲との衝突を嫌い、自己抑制して順応仕様とする姿勢が強く、そうすることで周囲との依存関係や受容関係を築こうとしている状態を示している。
 薬物への姿勢としては、乱用することで、乱用仲間との一体感や受容感を味わおうとしている心理がよみとれる。

 「顕示・流行型」とは、自己顕示を表すサインと流行追求を表すサインが同時に出現したグループである。これは、競争的で、自己拡大的な生き方を求め、周囲に対して自分の優越性を示したいと考え、絶えず新奇な刺激を求めて動き回ろうとしている状態を示している。
 薬物への姿勢としては、乱用することで優越感を味わい、自己拡大感を味わおうとしている心理が読みとれる。

 「不信・攻撃型」とは、対人不信を表すサインと攻撃性を表すサインが同時に出現したグループである。これは、自信欠如で、周囲への不信感が目立ち、物事を被害的、猜疑的にとらえやすく、ささいなことにも攻撃的、衝動的な対応を見せやすい状態を示している。
 薬物の姿勢としては、対人関係が円滑に持てず、不適応感を募らせ、攻撃的、自己破壊的に薬理効果を求めている心理が読み取れる。

 こうしたソンディテストの枠組を使って、各薬物乱用群を見ることにする。

| ふじかけ | 非行カウンセリング | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
矯正施設と宗教者
2009.07.10 Friday 12:33
*大学院の授業(キリスト教とカウンセリング1)で配布する資料。

矯正施設被収容者への宗教者の働きかけ

1.篤志面接委員
(1)篤志面接委員とは、その専門的知識や経験等に基づいて、矯正施設(少年鑑別所は除く)の被収容者が持つー錙垢量簑蠅硫魴茲鮨泙蝓△△襪い廊教養や趣味等を向上させることなどを目的として、相談助言・各種指導等を行う民間の篤志家である。
わが国における篤志面接委員制度は、1953年(昭和28年5月)から。この制度は、イギリスのプリズン・ビジター制度に範をとったものとされる。


| ふじかけ | 非行カウンセリング | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
愛情と対決
2008.06.04 Wednesday 09:18
 すこし前になるが、外での仕事でご一緒した方が、私の短い記事をたまたま読んでおられた。そして、ご自分のなさっている、子育てに関わる援助活動を振り返り、もう少し対決すべきであるかどうか、またこれまでそうすべきであったかどうか、迷っているというものだった。
 少し詳しくお話をうかがうと、彼の直面している事例は、「顔色うかがい」(拙著「非行カウンセリング入門」参照、また本ブログ「背伸びと息切れの時代」の連載Α連載参照)にあたるもので、その方の粘り腰の太陽のような関わり方はベストであるとお答えした。

 問題行動型の人の援助において対決要素が大切である。ただし、対象者の特質をみたてることが大切だ。

 さらに、対決は、しかりつけるのでも、追いつめるのでもない。はみ出せない枠組みを明確にしたり、ほっておいてくれ、という対象者のメッセージに敏感になることだ。そして、そうした明確化を果たせれば、対決型特有の穏やかな雰囲気が生まれる。

 というのも、これだけはやってはならぬ、という枠があると、逆にそれ以外なら許容するということになる。また、援助者自身に「権威」を持たなくとも、援助体制全体のどこかに権威を持てばよいということもある。いずれにしろ、穏やかな空気が生まれる。

 対決に裏打ちされた受容。受容に支えられた対決。いずれも愛情ということであろうか。
| ふじかけ | 非行カウンセリング | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
質問に答えて「山口母子殺人事件」
2008.04.23 Wednesday 19:28
Mさんからの質問:
山口母子殺人事件の報道を聞くたびに、心がとても動いてしまいます。
私自身は死刑制度については、まだ考えがまとまっているわけではありません。だから、元少年を弁護したいとも、極刑が当然だとも、思っているわけでは
ありません。でも、心理畑の人間として、彼の語る物語の意味を知りたいと思うのです。
 

 この事件は、いろいろなことを刺激してきますよね。
犯罪にかぎりませんが、私は人の動機、理由、意味というものは、複数、それもかなりの数、同時に存在していると思っています。たとえば、窃盗者のカウンセリングの難しさは、窃盗ほど動機が多義、多層に存在している難しさであると思っています。ビル
| ふじかけ | 非行カウンセリング | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
「かごダッシュ」と「ひったくり」の心理
2007.10.09 Tuesday 08:50
 最近、報道で、「かごダッシュ」なる犯罪が扱われている。コンビニ店などで商品をかごに入れてそのまま逃げていく万引き方法という。

 私は、万引きでなく、「ひったくり」の変形版であると思う。

 本人たちが遊び感覚。被害者への鈍感さ。強盗に近似した結果。うわさ情報の影響。スキルが不要。・・・ひったくりと重なる部分が多い。
 違うのは、「ひったくり」の対象者を探すかわりに、あらかじめコンビニ店というターゲットが決まっている点。
そのためもみじ
| ふじかけ | 非行カウンセリング | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
資料:犯罪種別
2007.07.10 Tuesday 23:47
*あす中京大学法科大学院「犯罪心理学」の授業の後半で使うレジュメ。

犯罪種別

1 重大犯罪〜殺人
(1)有名な事件
a 1988 宮崎事件、b 1995  地下鉄サリン事件、c 1997  神戸児童殺傷事件
d 1998  和歌山カレー事件 ・・・・
動機が了解しにくい。人格障害、発達障害の台頭。
(2)研究は科警研によって
 田村雅幸(1980代)
/涜卸拭18.0%)、∪問題型(28.4)、けんか型(24.6)、い修梁招拭30.0)ドア
続きを読む >>
| ふじかけ | 非行カウンセリング | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
←back 1/3 pages next→
Search
Profile
Recommend
Recommend
Recommend
雨降りの心理学 雨が心を動かすとき
雨降りの心理学 雨が心を動かすとき (JUGEMレビュー »)
藤掛 明
雨の心理的イメージを鍵に、雨の降る物語を読み解く。カウンセリング論であり、人生論でもある。
Category
Archive
Latest Entry
Recent Comment
Recent Trackback
Links
Admin
Calendar
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< August 2018 >>
記事分析
アート情報
Sponsored links
Mobile
qrcode
無料ブログ作成サービス JUGEM