悲しみと怒りと
2011.01.22 Saturday 00:29
 人は、逆境の中、喪失を味わい、大きなダメージを受けると、悲しんだり、怒ったりする。

 悲しみは、人を内省させ、経験を深めるよう促す。時間はかかっても着実に人を新しい成長に導く。

 怒りは、戦うエネルギーや、現実対処のエネルギーを高めさせ、悲しみを一時的に忘れさせてくれる。ただし、新たな成長にはつながらず、人を固定化させる。

 怒りは、人を強くするが、それだけであると人を偏狭にもする。
 悲しみは、人を賢くするが、それだけであると人を隠とん者にもする。

 私たちは、精一杯悲しみ、怒り、そしてまた悲しみたい。 







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ワークショップ、相互作用と速さ
2009.02.11 Wednesday 19:46
  ワークショップの講師をしていると、相互作用性が命だとしみじみ思う。そして、講師である私の話すスピードや間合いも、けっして軽視できない影響を持つと感じる。それも会場ごとに、その望ましい早さや間合いは異なっている。

 ある会場では、かなり早口でとばしてもOKであるが、ある会場では、普段よりもかなりゆっくりと話さないと会場がひいてしまうことがある。間というのは、参加者からの無言の発言機会であり、間がないとどんどん参加者が受け身になっていくような感じがする。

 先日も、あるワークショップで、あらかじめたくさんの時間を頂戴したので、欲張って、あれもこれもと用意した。しかし、始まってみると、参加者の反応に問題はないのだが、参加者の反応やワークのペースは非常にゆっくりだった。私としては、どんどん進行が遅れていくなかで、逆に私はピッチをあげる羽目になり、表面上は普通に進んでいったのだが、深い相互作用性を引き出すことにおいては、かなり失敗をしてしまった。

 そういえば、数年前、韓国ドラマの四季シリーズを次々に観たとき、1,5倍速で再生しながら観た。そのせいか、ドラマに引き込まれる度合いが低かったように思う。

 相互作用性と速さ、間合い。軽視することなかれ。
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世を忍ぶ仮の姿
2008.12.21 Sunday 08:28
  かつて、私は臨床の先輩に、「日々の仕事は世を忍ぶ仮の姿だ」と言われたことがある。これは、当時、目の前の締め切りに追われ、仕事漬けの毎日を送っていた私には非常に新鮮に聞こえた言葉であった。20代の終わりの話である。
 時が過ぎて、今では、後輩臨床家に向かって、私がこの言葉を贈ることがある。
 というのも、目先の仕事、目先の組織のあつれきに翻弄されすぎて(新人時代は翻弄されるくらいがちょうど良いのだが)、もう少し仕事や組織との距離をとり、自分としての目標や人生を意識することが乏しくなりがちだからだ。
 最近は、この言葉をさらに過激にして、「もっと職場を私物化しろ」と言うこともある。趣旨は同じ。「私物化」といっても、仕事の時間に私用をしろとか、退社時間を無為に遅らせ残業手当をたくさんもらえ、とかいった類の私物化ではない。
 今いる組織を制度的にも人的にも利用して、最大限に勉強し、仮に将来、今の組織の外に出ても、自分の力で勝負できる人材になることを目指せ、ということである。

 実は、私が35歳のころ、職場の心理技官の大先輩から「もっと法務省を利用するようなつもりでいろ」と檄を飛ばされたことがあった。
 「世を忍ぶ」と言った先輩も、「法務省を利用せよ」と言った先輩も、まさか私が、それを後輩に継承しているとは思わないだろう。 
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文筆家・研究者の集中力
2008.06.02 Monday 19:59
 忙しい臨床をこなしながら、研究や原稿執筆を精力的に残していく鉄人たちがいる。われわれ凡人は、もっと時間があれば文章が書けるのにとか、研究ができるのにとか、つぶやく。しかし、本当に研究や原稿執筆をやっている人はけっして時間に余裕があるわけではない。それとは関係なく取り組んでいる。

 H先生。年明け早々、お会いしたとき、たわいもない年始の挨拶をしたところ、ちょっとした話題の弾みで、「年始年末は(文章を書く)ペースを落とさないようにするのが大変ですよね」と話しかけられてしまった。
 K先生。私から一日のうちどのような時間帯に文章を書くのか質問したところ、「あいている時間があれば朝から」とのこと。そして「昔は書くのに疲れるとパソコンを離れていたが、今はパソコンのゲームをして気分転換をしている。これだと10分くらいですむしね」と気分転換の作法を開示。
 お二人とも、すごいペースで原稿も書籍も発表している。いつ書くのかと思ったら、いつも書いているのだ。 う〜ん、まだまだ私はその域には達しないなあ。
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やる気が出ないとき
2007.06.23 Saturday 06:51
 かつてスーパーバイザーから聞いたこと。私への助言というのではなく、彼自身の経験として。
 ・・・これまで怒りがあったからこそ、なにくそと頑張ることができてきたように思う。
    やる気が出ない時は怒ってみる。わざと少し怒り気味で行動する。
  
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TAT、100ケースの恩恵
2007.04.19 Thursday 12:30
 投影法の心理検査を身に付けるのは難しい。良くも悪くも職人芸のようなところがあるからだ。仕事で心理テストをするようになった最初の頃、私はTATというテストに惹かれた。これはこちらが提示した絵にあわせて、物語を作ってもらうものだ。テストとしては有名であるが、他のテストのように解釈方法が体系立っておらず、また解釈者の立場によってまちまちな扱われ方がしていた。
 私はTATのセミナーに参加したり、自学自習したりしたのだが、すぐに壁にぶちあたってしまった。そんなとき、同じ職場にTATに熟達した大先輩がいることを知り、ある日おそるおそる彼女に(実は大変毒舌で、厳しい方としても有名だった)申し出た。「TATを教えていただけませんか?」ひやひや
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35歳、成人説
2007.02.17 Saturday 15:54
 私は35歳で職業人として見通しを立てられれば十分だと考えてきた。
 35歳までは、自分の勉強や研究の幅をどんどん広げていけばよいと思うが、35歳以降は、そうは気軽に広げてはならない。むしろ、すでに得た守備範囲を深く掘り下げていかねばならない。
 すこし飛躍するが、歴史に名を残すような大研究は、その基本がだいたい35歳までに着手されている。その後は残りの人生でそれを発展させてきたにすぎない。35歳の折り返し地点を、どのように意識して通過するのか、臨床家の成長が問われると思う。
 
( 35歳すぎたら、次の節目は?
 35歳は職業人としての折り返し地点だが、各人の中年期(35歳〜65歳)が、人生の折り返し地点であると思うのだが、いかがであろうか。。。。死と老後をどのように受け止め、働いていくのか。)

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臨床家としての飛躍
2007.01.15 Monday 21:30
 一番創造的に仕事をするには、身近にいる創造的な先輩をそのまま模倣してみる。
 ―猗したカリキュラムではなく、瞬時の、振る舞いや発言、あわよくば助言や配布資料など、本来消えていくような性質のものまで頂戴する。
 △修靴動貭蠅良囘戞△つ定期的接触で、短いパスをつなぐように企画や共同作業に巻き込んでもらっていく。
 そして出来れば、その指導者の講演やワークショップに、無料で参加、見学させてもらい、会場の空気ごと盗む。
 これが、創造的な先輩を模倣する三原則。そして自分自身が創造的になるための−。
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金脈を掘り当てる
2007.01.15 Monday 21:11
 ねらいすましたように、看板を築き、自分らしいスペシャルな業績を残すということはない。ただ、毎度、現在の精一杯の目標に(冷静に考えるとそれほどすごいわけではない目標に)向かっていく過程で、目標とは異質のさらなる目標に出会うことがあるのだと思う。研究でも、臨床の学びでも。ライフワークでも。
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一匹オオカミの問題
2006.12.23 Saturday 21:45
 臨床心理士など専門家は、とかく、一匹オオカミ的である。

 そこには弊害もある。同業者集団に属することがないため、先輩からの芸の伝承を受けられない傾向にあることである。私も、少し前まで、法務省の矯正施設で働いていたため、心理職集団、広い意味での非行専門家集団の中に身を置いていた。先輩の自慢話や癖のある発言もずいぶんと聞かされた。集団の中で上から管理される窮屈感も味わった。しかし、辞めてみると、そうした体験の中にこそ、結果的に生活知のようなものがたくさんあったことを認めざる得ない。
 
 そのために、一匹オオカミ的な立場にいる若い臨床家は、芸の伝承を受けるべく工夫すべきである。最大の方法は、そうした生活知を豊かに持っているスーパーバイザーを探し、指導を受けることであろう。準じた方法としては(謝金を減らす利点もあり)、グループで一人のスーパーバイザーを招聘する手もある。さらには、リーダー格の人材がきちんといる、小規模の研究会に属し、関わり続けることも似たような刺激を得ることができるだろう。

 また先輩でなく、同輩とネットワークを築いておくこともかなり大切なことである。自分の関心事が明確であれば、知人の知人に意外とつながるし、共同研究や自主シンポなど出会いにはことかかない。学会で口頭発表することも、研究成果を問うというより、自分の問題意識を公にし、似た同輩に「この指とまれ」と意思表示する効用があるのである。
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藤掛 明
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