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帰り道
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2008.12.24 Wednesday 00:56「帰り道」
雪がやんだら寒い午後
彼女に合わせてゆっくり歩く
一足ごとにそおっと歩く
僕らがゆらり
命がゆらり
−−そわそわしない?
雪が降ると
笑って止まって
歩きだす
三人そろって歩きだす
雪はぽかぽか
雪はぽかぽか -
鶴
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2008.12.24 Wednesday 00:41「鶴」
丸山薫の文章にこんなのがある
鶴が駆けながら両肱で空気をだことする
ところが羽がクシのようで飛べないので
いつまでも同じところをぐるぐるまわっている
−−ずいぶんきつい目をしているな
−−女王のような風格はどうしたんだ
−−みじめな姿だ、苦しそうな表情だ
風がその羽を漏れて弱く、立ちつくす僕の肩を打つ
いつのまにか僕はこんなにも彼女の近くに立っているのだ
あの頃、鶴は空遠く羽ばたいていた
まぶしすぎてその姿さえ見極めることができなかった というのに -
コスモス
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2008.12.24 Wednesday 00:39
「コスモス」
ほら
コスモスが咲いていますね
うすむらさきですね
のんびりしますね
なんだか足音もたてられませんね
あたたかくて、いまは−
十一月ですよね
むこうのあれあ
光っていますね
海なんですね
信じられないなぁ
花嫁は
もう、ほんとうにここで暮らすんですね
日曜にはこの道を歩いて教会に行くんですね
しあわせそうでしたね
きれいでしたね
ひゅっ
ひゅっ
ひゅ−−っ
ちょと うるさいですよ
いっぱいにひろがった
からっぽの心が
草笛の
まねを
するなんて
あたたかいですね
いまは−−
ああ、十一月ですよね -
少年
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2008.12.24 Wednesday 00:37「少年」
奥さんが赤ちゃんを抱いている
旦那さんがいろいろと話しかけてくれる
食事が運ばれてくる
いっしょに讃美歌を歌い出す
いつのまにか
この人たちの瞳の奥で
遠い未来のぼくが ほほえみかける
遠い未来のぼくが 昔を思い返す -
いくつもの道
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2008.12.24 Wednesday 00:36「いくつもの道」
白髪のゼベタイを捨てよ
入り江の網を繕え
先の見えない毎日は
日没の湖をながめるように
悲しい
ただ
心の張りが残る -
帰り道・大家と和解して
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2008.12.24 Wednesday 00:33「帰り道」 大家と和解して
手の中の
ゆがんで
ゆがんで
もなかの二つ
左右のペダルに力を入れて
やっと、誤解を乗り切って
左の手には、お茶請けの
ゆがんで
ゆがんで
もなかの二つ -
しりとり
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2008.12.24 Wednesday 00:32「しりとり」
わるぐちうわさ
さびしいよ
よるになったね
ねましょうか
雨は止んでいた
窓はあいていた
でたらめめいろ
ろんにんせい
いちねんさきは
わからない
雨は
部屋の中で そおっと
はしゃぎだしていた
背中だけがそれに聞き入った -
残像
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2008.12.24 Wednesday 00:31「残像」
風呂おけ片手に
アパートにもどると
手を蛍光灯にのばす
(銭湯の帰りがけ)
(遠くに見える)
(電話ボックス)
その光景がきまって
暗い脳裏に浮き立って消えない
部屋がぱっと明るくなる
電話ボックスはもう見えない
ただ何もない暗闇が残る -
噴水
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2008.12.24 Wednesday 00:29「噴水」
彼をとりかこんで
水の精たちの声が いっせいに湧き上がった。
飛んでみろ
羽は何に使うんだい
数々の罵声がとびかう
彼は羽を広げたまま
微動だにしない
今は試練の時
忍耐の時
石造の白鳥は
うつろに天を仰いでいる
掲載:百万人の福音 78年9月号 詩のふるさと(読者投稿) -
土曜の午後
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2008.12.24 Wednesday 00:29「土曜の午後」
カーネーションは、ほほえんでいたい
なのに憂うつそうに揺れたりもする
カーネーションは思う
もっと根に力を入れなくては
その瞬間 −−
とん、とカーネーションはおじぎをしていた
窓ぎわに置いてある花びんの中で - ←back 1/2 pages next→