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「借りぐらしのアリエッティ」とカウンセリング
2014.08.18 Monday 08:35


回避性パーソナリティ障害というのがある。
誰もが持ち得る極端な生き方でもある。
それは
「失敗をして自分が傷つくことを怖れる。その結果、顔色伺いをし、自分を出さないですます」
そういう生き方であり、それが極端になって生活に支障が生じてしまうのである。
これは、時代精神とも符号する。

スタジオジブリの長編アニメ「借りぐらしのアリエッティ」(2010年)を見た。
ヒロイン(アリエッティ)とその家族は小人で、人間の住む屋敷の床下にこっそり住み着き、静かに暮らしていた。
「人間に見られてはいけない。見られたら、引っ越さないといけない」というオキテは、
まさに、他人に素の自分を見せたら、受け入れてもらえるはずがない」と顔色うかがいする回避性の生き方に比喩的に重なる。
そして、ヒロインの少女が人間の少年と交流を持とうとする場面は、そうした回避性の生き方を壊そうとする成長の姿が印象づく。
アリエッティの振る舞いに、私たちが惹きつけられ、はらはらさせられるとき、
私たちの密かな回避性が心の奥底で、反響しているのである。



 
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キャリー、アナ雪、ゴジラ
2014.08.15 Friday 15:55


1976年、アメリカのホラー映画の名作に「キャリー」がある。
女子高校生のヒロインが、いじめにあい、最後の場面で、そのいじめに耐えかねて、
(それと母親からの悪意ある対応にも耐えかねて)
秘めた超能力が制御不能に暴走し、学校や自宅を破壊してしまうという物語だ。

内なる怒りや攻撃性の感情をいかにおさえ、いかに出すか、というテーマを比喩的に扱っていると、私はとらえている。

その「キャリー」が、2013年、アメリカでリメイクが作られた。
世界が、怒りや攻撃性の出し方について、考えることを突きつけられているかのようだ。




ときを同じくして、「アナと雪の女王」(2013、アメリカ)も封切られた。
アニメの中のヒロインは、「キャリー」と違って、炎を呼ばない。むしろ凍らせてしまう。
その表現は対照的だが、怒りと攻撃性の表現は共通している。
まさに「ありのままの」自分を、周囲を凍らせることなく、また破壊することなく、しかし我慢するのでなく、
いかに表現すべきかを問うた作品である。




 そうこうしているうちに、「GODZILLA ゴジラ」(2014年)がアメリカで再度のリメイク版で登場してきた。
 ゴジラの破壊力もまた、人類の怒りや攻撃性の発露を示していると思う。
 

 人間関係の難しさ、社会の悪と閉塞感。
 こうしたことがますますやっかいになっている現状では、
 当分は、周囲を一瞬のうちに燃やし、凍らせ、壊すような、破壊物の映画作品がいくつも登場してくるにちがいない。
 
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「妖怪ウォッチ」現象とカウンセリング
2014.08.08 Friday 00:01


最近、社会現象になっている「妖怪ウォッチ」。
ゲームソフトで始まり、コミック、TVアニメ、関連グッズと快進撃が進む。
物語は、 不思議な時計を手に入れた少年ケータが、日常に潜む 妖怪と仲間になりさまざまな問題を解決していく……というもの。

ここで登場する妖怪をすこし紹介する。

「ヒキコモリ」
人を、ひきこもりにさせる妖怪。現代社会で急激に力をつけている強敵。

「ドンヨリーヌ」
場の空気を悪くさせてしまう妖怪。本来夫婦仲の良い両親が喧嘩をするのもこの妖怪のしわざ。

こどもたちが、日常で遭遇するネガティブな現象を、当事者の問題と考えず、あたかも別の問題者が外在すると考える設定。
これは家族療法の、「外在化」の技法と一致する。
たとえば、こどもがおもらしを繰り返すとする。そのおもらしをするのは当の本人なのだが、そうは考えず、おもらしをする架空の虫がいて、その虫の活動を観察したり、飼い慣らす方法を考えたりしていくというもの。第三者化(外在化)することで、起きている現象を、冷静に(安全に)考えることができるという治療的戦略である。

このように「妖怪ウォッチ」は、人の心の暗部を、こどもたちなりに直視し、安心して考える仕組みを持っている。ポケモンが成長とパワーの世界であったことと対比すると、似ていながら、こちらは、内省と癒しの世界である。


 
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