金嬉老(きんきろう)事件を想う(1)
2008.02.11 Monday 11:27
 今朝、テレビ番組スーパーモーニングが、金嬉老(きんきろう)事件について、丁寧に取り上げて報道していた。40年前の、2月20日、起きた事件であった。大学などの授業で、この事件のことをとりあげても、学生はほとんど知らない。
 ある人にとっては民族差別のシンボルのような事件であり、ある人にとっては、マスコミを巻き込む劇場型犯罪の最初の事件であったりするだろう。私にも大きな思い出のある事件であった。

 金嬉老事件とは、彼が起こした、殺人を発端とする監禁事件である。あめ
彼は、暴力団から借金返済を求められ、追いつめられて、取り立ての暴力団員2名を射殺した。その翌日には県内の寸又峡温泉の旅館に、経営者・宿泊客ら13名を人質として、88時間にわたりたてこもった。その際の人質解放の条件として、在日コリアン差別問題と絡めて警察官に謝罪を要求した。彼自身在日二世でもあった。その後、立て篭もる様子がテレビ等で実況され、関連する警察官がテレビ出演するなどした。一部マスコミや団体などでは差別と戦った英雄として取り上げられた。
 この事件で殺人罪・監禁罪で逮捕、服役し、70歳で仮釈放。更生の為に適当との判断から祖国である韓国釜山に移り住んだ。

 実は、彼は日本での受刑中、最後の施設としてF刑務所に移送された。仮釈放の手続きを始めるため、豊富なスタッフを抱えるF刑務所への、あえての移送であった。当時、私はF刑務所の勤務する心理職の初級管理職であり、私は、彼の日本での最後の心理面接者となる光栄?に浴することになってしまったのである。
(つづく)

 → 金嬉老(きんきろう)事件を想う(2)
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2020.10.17 Saturday 11:27
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Comment
2009/02/14 10:01 AM posted by: ふじかけ
おじさんさん

実は、連載第1回にして、挫折してしまいました。
事実上、続きの部分は、ところを変え、(臨床心理学のケーススタディとして読んでいただくために)心理の雑誌かそれに準ずる場所に、出そうと思っています。今のところ、イメージの心理学をテーマとする新書本で準備を進めています。
2009/02/11 2:03 PM posted by: おじさん
その2はどこに掲載されいているのでしょうか 続きを読みたいです
2008/11/30 9:41 PM posted by: ふじかけ
みなさま

最近のTV番組がきっかけで、この記事に対するアクセスが急増しました。また、きんきろう事件のそもそもの非難、擁護のコメントやその他をいただきました。

このブログで、きんきろう事件のそもそもを論じ合う意図はありませんので、原則、非掲載とさせていただいています。
すいません。
2008/11/30 9:38 PM posted by: ふじかけ
明日への時間#0 さん

>本当は、日本に帰りたいのではないのでしょうか?

>彼は、もう、過去の日本の悪口しか、言えない人間になってしまったのですから

なかなか深い感想ですね。
きっと、彼は、なぜ自分は、故郷とはいえ外国に来たのだろうか、と考えることはあったと思いますよ。

2008/11/24 11:32 PM posted by: 明日への時間#0
はじめまして、こんばんは、
よろしくお願いします。
この事件を起こした金嬉老(きんきろう)氏は、
口では、日本の悪口を言っていましたが、
本当は、日本に帰りたいのではないのでしょうか?と
思ってしまいました。
なぜなら、韓国には、韓国の文化、風習、
そして、言葉の違いがあるからです。
私は、彼を見て、本当に哀れで、寂しかったです。
なぜなら、彼は、もう、過去の日本の悪口しか、
言えない人間になってしまったのですから、
2008/02/27 6:48 PM posted by: ふじかけ
sumireさま

>『常識』と現実の経験との深い食い違いに、長い間悩み,不快な思いを抱いて今まできました、

とのsumireさんの苦悩、ご推察申し上げます。
差別は、けっして加害、被害が固定して起こるものではない、ということも思います。

さて、このブログ、特にこのカテゴリー「描画テスト描画療法」は、臨床心理士、およびそれを目指して勉強中の大学院生を想定して、記事を書いています。

私は、彼の逸脱性を強く感じていますが、それとは別に臨床心理学的に、また描画テスト的に、このような特殊な事件と経緯を示している人に、限られた条件のなかで、どのように関わり得て、どのようにその心理に迫り得るのかを、ケーススタディとして提起してみようかと思いました。

多少その背景として、人権問題にも私なりに言及することになるのかなあとも考えていました。
しかし、いろいろな他のサイトを読んで、まだ私には力不足だと感じました。

ただ、このブログに書こうと思ったケーススタディは、ところを変え、心理の雑誌かそれに準ずる場所に、出すことを検討しています。

期待にこたえられず、申し訳ありません。
2008/02/24 10:01 PM posted by: sumire
「彼の日本での最後の心理面接者」であるふじかけ氏のつづきを関心を持って待っております。私は他のブログや書き込みは見ておりませんが、時期尚早というのなら、いつがその時なのでしょう。
彼の出所時におけるリアルな心の世界を描画テストの観点から報告できるのは、面接者であるふじかけ氏だけであろうし、あくまでふじかけ氏の観点で良いのではないのでしょうか。

あえて言ってしまいますが、犯罪者が警察などの取り締まり機関でていねいな紳士的な扱いを受けないというのは、世界中どこでもありえることです。もちろん行き過ぎや暴力は許されません。そこで問われなければならないのは「不当な取り扱い」であり、そのことを人種や差別にすぐに結びつけて自分の強みに摩り替えることの『ひきょうさ』を私は感じているのです。
「現実に色濃く存在したのだ」とおしゃいますが現実に経験したのですか。ご覧になったのですか?
私は、傲慢で狡猾で卑怯で法を守らない在日をたくさん見てきております。それに対し、臆病で、おどおどし、弱弱しい逃げ腰の日本人(私を含めて)もたくさんみています。そして自分は良心的なのだと信じています。
差別される弱者の在日朝鮮・韓国人VS差別する強者の日本人という観念の『常識』と現実の経験との深い食い違いに、長い間悩み,不快な思いを抱いて今まできました。
金氏が韓国で、日本や日本人に対して異常とも思えるほどの愛惜の思いを語っていたことをふじかけ氏はどう思われましたか?

2008/02/23 1:26 PM posted by: ふじかけ
sumireさま

コメントありがとうございます。
私も英雄視はとんでもないことだと思います。

ただ、日本人社会での差別、警察の不当な取り扱いへの恨みといったものは、彼の主張とはまったく別にしても、現実に色濃く存在したのだと思います。だからこそ皮肉にも彼が注目されることになったのだと思います。

実は、彼と私の面接を、彼の描画テストの観点から報告し、彼の出所時におけるリアルな心の世界をお伝えしようと考えて、連載を企画しましたが、その後、他のところで、いろいろなブログや書き込みを読ませていただき、時期尚早かなあと思いまして、(2)を書いていません。どうしよ。

2008/02/12 11:01 PM posted by: sumire
はじめまして
通りすがりのものです。
このTVを見て、心底テレビ朝日の報道姿勢にあきれはてました。
金を在日差別と戦った英雄のように伝えていました。少なくとも私にはそういう風に感じられた。
彼は犯罪者。2人も殺している。暴力団員だから別にということ?
私はある疑いを感じていました。そもそも金銭に関わることで在日が関わる相手は、多くの場合在日ではないのだろうか?
これは在日同士の金銭トラブルではないのか?
だとすれば、何故彼があのような行為にでたかなんとなくわかる。
同胞を殺した(しかも2人も)彼の先にあるものは、裏切り者に対する制裁…おそらく死。だから彼は最後の切り札として勝負に出た。
日本人社会に差別を叫んで、ほとんど逆恨みとしか思えない警察官への恨みをおおげさに騒ぎ立てた。私はこの警察官はただ事実をいっているだけとしか思えなかった。彼が出所後、韓国に行ったのも
復讐を恐れてのこととしかみえない。
本当に天才的な策士。身を守ることにかけて、朝鮮人は本当に自在に嘘をつき被害者をよそおう。
これは私自身の経験からの思いです。
長文失礼いたしました。これはあくまで私個人の考えです。

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