講演録「牧師のストレスとセクハラ問題」(5)
2008.04.18 Friday 00:01
■2つの反応
その時に、私はこう考えました。人は大きなストレスを感じたときに、二つの選択をするんじゃないかということですね。ひとつは、大きなストレスに圧倒されて、へたりこんで甘える、そういう反応ですね。もうひとつは、ストレスにあっても背伸びをして、やせ我慢をして強行突破をするというタイプですね。
いす
この二つは正反対の世界だと思います。どちらが良い悪いということはありません。ケースバイケースで、どちらかを柔軟に使っていくのが健康だと思うんです。
たとえば、明日の朝までに提出する文書がある、でも風邪を引いてしまった。そんなときに、徹夜してでも書くというのが、強行突破型の反応ですね。あるいは、うまいセリフで締め切りを数日延ばしてもらうのは、へたりこみの反応ですね。どちらもその場に合わせて選び取っていく、というのが大切なところです。しかし、人間は面白いことに、余裕がなくなってきたり、状況が悪化してくると、どちらかばかりを偏って選びはじめます。さらに悪化してくると、今度は片方ばかりを判で押したように徹底して使います。こうなるとかなり問題が生じやすいと言えます。そして、その果てにトラブルや様々な問題行動を起こしてしまう。
少しデフォルメして言いますと、へたりこんで、甘えて、すべてどのような状況でもその方向にだけ進んでいこうとすると、引きこもりとか、不登校とか、あるいは精神的病いのかなりのものが、その延長線上につながっていくのではないでしょうか。逆に背伸び、強行突破ばかりを使いすぎると、息切れが始まり、ある時ポンとはじけて脱線するんですね。非行とか犯罪のメカニズムでもあります。それから繰り返される異性問題、金銭問題もこちら側ですね。アルコール依存、ギャンブル依存もそうですね。

■ギャンブル依存の例
ある人は、背伸びをして、がんばって強行突破する。でも目的がよければいいんじゃないの、と言うかもしれません。そうではないです。それは、皆さんが、自分は強行突破しています、と言っても、適度にへたり込みも使っているからバランスが取れているんですね。本当に全て背伸び、強行突破で行く人はとんでもないことになります。たとえば、ギャンブル依存の方。赤字を補填しようとして賭ける金額を増やすとぐんと上がって、100万円以上の借金になる。そうすると、ばれるか、白状するか、そうして一回目の破綻が露呈します。。一回目は魔がさしたで済むんですね。しかし、再びギャンブルを再開し、また100万円以上の借金を作ってしまう。こうして2回目の失敗は、前回があるので、許されません。そこで、ある人たちはそれは病気だ、だからカウンセリングを受けるなら、今回も許そうとなります。多くの場合はギャンブル依存の男性は、奥さんに首根っこをつかまえられてですね、連れてこられるわけです。私は面接の最後のほうでいつも聞くんです。「この云百万円の借金どうやって返すおつもりですか」と。そうすると、受容的な面接の後に聞きますので、多くの方が、本音でこう答えます。「もう一回やらせてください。それで返します」と。これはすごい発言ですよね。もう一回だけやって当てれば、すべて帳消しでハッピーエンドになる。確かにないことではない。しかし、そういう考え方が一連の悲劇を生んできたわけですから、とても良い解決とは思えません。これが、強行突破の生き方ですね。

■2つの反応の比較
甘え・へたり込み型と、背伸び・強行突破型とは非常に対照的です。へたり込み型は、「助けてくれ」というメッセージを出し続けています。身近に牧師や指導者がいると泣きついてきますね。逆に強行突破型は、「放っておいてくれ」です。自分は人に援助を受けるほど弱くないんだ、というメッセージがあります。
甘え・へたり込み型は、本人が弱り、へたりこんでいますから、カウンセラーとしての援助方策として、時間をかけて待ってあげる。本人が動き出すのを励ます、しからない、本人が自ら動き出す芽を伸ばしてあげる。そういったような初期のかかわり方が必要です。
ところが、背伸び・強行突破型は違います。こちらはずっと動き回っていますから、止めなくてはいけません。立ち止まらせるのです。ですから、まず「あなたは面接を受ける必要、治療を受ける必要、指導を受ける必要があるでしょう」というところをしつこく確認するわけですね。そして、本人に「ある」と言わせるわけですね。右側の人は自発的には相談になかなか来ません。ですから問いかけます。「本当にこのままで不安ではないですか、また同じような失敗をしないと言い切れますか。だったら何とかするために次回もここでお話ししましょう」というようなことを問いかけて来てもらう。対決ですね。受容と対決、両方ともカウンセリングに大切なことです。
私は、最初、非行の実務家として、背伸び・強行突破の人たちを相手にしていたわけですね。その中でカウンセリングのスキルを身につけてきたわけです。10年後に民間の相談室に研修名目で行ったときには、突然、甘え・へたり込み型の人たちが、私の目の前に現れたわけです。当然、カルチャーショックのようなものを感じて困惑することになったのです。
(つづく)


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2008/04/18 6:51 PM posted by: 花鳥風月
判りました♪

2008/04/18 12:09 PM posted by: ふじかけ
花鳥風月さん

いちおう、ここでの反応型としては、
ふたつのどちらかになる、と考えています。

もっとも類型的な理解ですので、
その限界もありますが。
2008/04/18 11:15 AM posted by: 花鳥風月
へたり込みタイプ。
強行突破タイプ。
もひとつ、
又は、
あと幾つか 大きく
区分出来ますか?♪
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