講演録「牧師のストレスとセクハラ問題」(6)
2008.04.19 Saturday 18:52
■■企業組織で起きていることを例に
こうした二つの反応型を、企業組織で考えてみるとずいぶんと対照的なことになっていると思います。たとえば、企業戦士がストレスで駄目になってしまう。
いす
ひとつは「うつ」になって仕事が思うようにできなくなる。大きな企業であれば、それは病気だということで対応してくれます。休職や配置転換、復帰時の馴らし出勤など具体的な配慮もあります。これは、甘え、へたり込み型の人への対応ですね。
これが背伸び・強行突破型の人になると企業の対応はどうでしょう。まず、そういう配慮はないと思います。当事者も助けてほしいとは思っていませんし、そもそも問題とされるような状況はないと主張します。こういう人は、突っ走るばかりで、トラブルを繰り返す場合が多いのですね。セクハラやパワハラもそうです。金銭問題もそうです。しかし組織側はすぐには動きません。動きたくても動けないといったこともあります。最後は大きな不祥事として露呈したときに、法律問題、組織服務の問題として一気に動きます。懲戒処分、多くは首を切るという形で対応するのが現状ではないでしょうか。ですから、同じ企業でも「甘え・へたり込み型」と「背伸び・強行突破型」では、明らかに対応が違います。
もっとも、「甘え・へたり込み型」の人たちに対しては、彼らが「助けてくれ」と言ってくれているわけですから、ならば助けましょうか、ということで、歴史と共に援助する方策については蓄積があります。逆に背伸び・強行突破型の人たちは「放っておいてくれ」と言っているわけですから、「問題を起こしておいて放っておいてくれはないだろう。勝手にしろ」ということになり、放っておくわけです。周囲はどこで手を出すかというと、放っておいて、彼が崩れに崩れて、法律問題などになったり、問題がふくれあがって緊急事態になったりしたときに、パ〜ンと切り捨てるように介入しますね。それが現状です。

■二つの反応型を見極めないと失敗する
この対照的な二つの反応型を混同すると大変なことが起きます。典型的なカウンセリングの例でいいますと、中2の娘さんのお話を伺ったケースがあります。この娘さんは、中学に入ってから夜遊びが始まり、不良交遊の範囲も広がって、とうとうチンピラまがいの不良者と同棲を始めてしまいました。母親は、カウンセラーに相談に行ったのですが、そうしたらそのカウンセラーからは、「見守ってあげてください、しからないでください」とアドバイスを受けたんですね。母親はそのアドバイス通り、実際に見守って、しからないできた。時おり娘が服を着替えに帰って来たときにも、小遣いを上げたりして、決して非難をしないようにしたと。ところが、どんどん娘は自分から離れ、どんどん危ない世界に入っていっていく、ということで、私の相談室に来られました。私は申し上げたんですが、「今日、お父さんと一緒に同棲先に踏み込んで、無理やりでもかまいませんから娘さんを自宅に連れ戻してください。チンピラの相手がすごんだら、すごくいいチャンスですから、携帯電話でこれみよがしに110番してください」と申し上げました。そのお母さんは、「そんなことをしていいのですか」、と言われました。これは、何が起きているかというと、「甘え・へたり込み型」と「背伸び・強行突破型」の混同が起きているんですね。不登校やひきこもりであれば、見守ってあげるべきですけれども、遊びすぎて、同棲までして、学校にも行かないという人に対して、「背伸び・強行突破型」の世界の原則で対応しなければいけないんですね。なのに、逆の反応型側の原則で対応をしてしまったので、すごい混乱をしてしまったのです。このように、この二つの反応型を意識するというのは、理解や援助の戦略上大事だと思いますし、今、社会で起きていること、教会で起きていることについてもですね、そういった視点で整理する必要もあるのではないかなと思っています。
先ほど、玉井先生のレジメに「実際的分野におけるSOS」というのがありました。仕事のしすぎ、役員との軋轢(あつれき)、同労者間の軋轢(あつれき)、メッセージの借用、教団からのプレッシャー、転入会員の問題、これらの問題は、全部「背伸び・強行突破型」の問題に属するんじゃないかなと伺って感じました。私自身は、カウンセラーとして、「背伸び・強行突破型」の領域の訓練を受けてきた、ということが言えます。そして、今、教会向けのカウンセラーとしての私の働きが始まったということは、今、日本のキリスト教界でそうした領域でどう対応していくのかということが問われ始めているのではないかと感じ始めているところです。
(つづく)

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2008/04/20 1:54 PM posted by: 花鳥風月
つづきを
期待します☆
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