【付章】臨床の知について
2009.04.09 Thursday 21:09

  (仮)立ち止まって考えるクリスチャン・ライフ【付章】

3章に関連して

13.3章で扱われている考え方というのは、臨床心理学一般の考え方でもあるのでしょうか。


 臨床心理学だけにとどまらないが、「臨床の知」という考え方がある。近代科学の考え方ではとらえきれないものを積極的に扱っていく立場である。カウンセリングなどの臨床経験からは、人の心や魂を理解するのには、こうした臨床の知が不可欠であることを強く感じている。
 なお、哲学者の中村雄二郎は「臨床の知」は次のような三つの構成原理があるとしている。


 (1)コスモロジー

  近代科学の「普遍主義」に対する原理である。
 これは場所や空間を等質的にとらえず、ひとつひとつ意味をもった領界と見なす立場である。
 私はこれを「個別性」とよんでいる。たとえば同じ人が「職場」と「家庭」と「教会」で、同じようなことをしても意味が異なってくることなどがこれにあたる。

(2)シンボリズム

  近代科学の「論理主義」に対する原理である。
 これは物事をそのもつさまざまな側面から、一義的にではなく、多義的に捉え、表す立場である。
 私はこれを「多義性」とよんでいる。本書で「多義性」や「二律背反性」として扱ったことはこれに属するといえる。

(3)パフォーマンス

  近代科学の「客観主義」に対する原理である。
 これは行為する当人と、それを見る相手や、そこに立ち会う相手との間に相互作用が成立しているとする立場である。
 私はこれを「相互作用性」とよんでいる。本書で「相互作用性」として扱ったことはこれに属するといえる。

 参考図書としては次の三冊を挙げる。

 嵶彎欧涼里箸浪燭」(岩波新書、1992年、中村雄二郎著)
 臨床の知の入門書。

◆屮肇櫂垢涼痢夙庭療法の世界」(阪急コミュニケーションズ、1993年、河合隼雄・中村雄二郎著)
 臨床の知の観点から行った臨床心理学者と哲学者の対談。「箱庭療法」を手がかりに、臨床心理学やカウンセリングの世界を概観していく。

「ヘブライ人とギリシア人の思惟」(新教出版社、1970年、T,ボーマン著)
 旧約聖書に示されるヘブライ人の世界観は、近代科学とは異なる「知」を示している。「臨床の知」とはイコールではないものの、聖書特有の「知」を考える上で、絶大な示唆を与えてくれる。

 

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2019.10.10 Thursday 21:09
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Comment
2009/04/19 9:08 PM posted by: ふじかけ
クレオパさん

私の増補改訂版も、「理会」ですよ。
いろいろとご示唆、感謝します。
文献探しについては気長にいきます。
2009/04/18 10:59 PM posted by: クレオパ
情報、ありがとうございました。増補改訂版があったのですね。う〜む。残念。。そっちが欲しいです。
初版は、「理解」を「理会」という用語で記しています。最初、「??」と思いました。笑)
でも、内容はすこぶる面白そうですね。訳文も分かりやすいです。

ご質問の件ですが、残念ながら私はそこまで詳しくありません。でも、そういう文献はあってもよさそうですね。

学者に聞くか、関連図書を見つけたら、そこにある参考文献を探るしかなさそうですね。

2009/04/18 4:31 PM posted by: ふじかけ
クレオパさん

さっそく該当書の奥付を確認してみました。(ブログ掲載原稿の年数などは、ネットが確認しながら記載したものだったので・・汗)

私のは、増補改訂版で、1976年の第5刷り、でした。池袋ライフセンターで買いました。3,000円。当時、聖書の時間論に興味があって、いろいろなものを読み始めていたところ、ぶちあたった本でした。たしか大学1年で、やや苦学生的環境にありましたので、大決断で、買ったことを記憶しています。

ついでに質問なのですが、このボーマンのヘブライ人の特質から聖書を読み解くというのは、神学史でも取り上げられているのでしょうか。ボーマンを独立した節で扱っているような神学史の本というのをご存じでしょうか?
2009/04/16 11:35 PM posted by: クレオパ
あっ、上のコメントの最後部分を間違えました。すみません。
「ちなみに57年の初版は」が正しいです。私の心配は、70年のもののほうが増補改訂で、すぐれていたらら、どうしよう〜、ということです。

内容が同じだったらうれしいですが。
2009/04/16 11:30 AM posted by: クレオパ
ここで紹介してくださった「ヘブライ人と。。。」の本を、前から興味があり、インターネットで中古を探していました。しかし、高いのです。

でも、もっと安い価格で発見。やっと手にいれました。

ただ、入手したものは70年発行でなく、なんと57年に新教で出した初版。3千円程度でした。
ご紹介いただいた70年発行のものと異なるのでしょうね。ちなみに70年の初版は、原書の第二版を訳したものです。
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