書籍「牧師とその家族のメンタルケア」
2010.02.13 Saturday 23:00


  私は、牧会における実践的な、とりわけメンタルヘルスやカウンセリングに関する書籍や記事に、不満足を感じることが多かった。それらがピンポイントの経験則であったり、特定の立場による打ち上げ花火のような印象を持つことが多かったからだ。それでは、多くの牧会者や関係者が互いに論じ合い、積み重ねていけない苛立ちさえ感じることがあった。

 しかし、ここにきて、ようやく日本人の牧会者や神学者から、出張や提言が出始めてきた。昨年に出版された、賀来周一氏の『キリスト教カウンセリングの本質とその役割』(キリスト新聞社)は、多くの信仰に関連したカウンセリングの立場や実践を包括してくれる好著で、私は読みながら小躍りして喜んだ。
 
 そして本書も、最近の私の「小躍り」路線の一冊である。内容は、共著者の3人が、さながら独立したブックレットをそれぞれに著し、合本したような趣で、それぞれに個性が発揮され、味わい深い。1粒で3回味わえるお得感と濃さがあるとも言えよう。

 まず、「機)匯佞離瓮鵐織襯悒襯后廚任蓮∨匯佞筌船礇廛譽鷏亳海鮖つ窪寺俊之氏によって、牧師個人にとどまらず、かなり幅広く、総花的にメンタルヘルスの要因がとりあげられ、解決の方向性がを示される。限られた頁のなかで、霊的、心理的側面への端的な言及も重みがある。

 次に、「供)匯佞箸修硫搬欧悗離瓮鵐織襯吋△陵解、対策、ならびに援助システムについて」では、牧師である森田悦弘氏によって、やはり牧会現場でのメンタルヘルスの問題が臨床的に示される。A牧師とB牧師の会話形式で記述されているが、限られた頁のなかで、臨床的な事柄を広く深く、ありありと伝えることに成功している。

 最後に、「掘.瓮鵐織襯悒襯后,海海蹐良造噺き合うということ」では、精神科医である久保田拓志氏によって、うつ病、不安障害(神経症)、人格障害、心身症、統合失調症、認知症、発達障害など、実に広範囲に心の病について概説を試み、最後に牧師に対するメンタルヘルス上の提言を行っている。

 どの著者の章も、ブックレットのような独立した濃さを有し、かつ土台の部分を広く扱っている。今後、こうした論議や研鑽を深める際の土俵や見取り図になったり、前提知識を確認したりといった多様な、しかし礎となる役割を果たすことだろう。

 ただ、ブックレット合本風でなく、3人の著者が、十分な頁でもう少し掘り下げて書くことを好む読者もいるように思うが…。

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