連載─Э討離灰鵐妊ション
2006.12.06 Wednesday 17:10
背伸びと息切れの時代・第8回
「親のコンディション」

 これまで七回にわたって、非行少年のふるまいの裏側にあるものを見てきました。それは彼らの「背伸び・強行突破」の生き方とその息切れ状態についてでした。
 後悔はするが悩まない生き方(第二回)。
 地に足の付かない積極的思考(第三回)。
 自分の弱さを認めまいとして過剰に反応する姿(第四回)。
 こうした特徴はどれも、背伸びの息切れ状態にあって、ますますその傾向を強めるものですし、その挙げ句の果てに、つっぱったり、意地をはったりしながら、脱線して非行に至る姿をお伝えしたわけです。
 また、「おちゃらけ」(第五回)や「顔いろうかがい」(第六、七回)という生き方も、実は、この背伸びの息切れ状態としての性質がありますので、あわせて紹介しました。
 さて、これまでは、どのようなことが起きているのかを中心に見てきました。いわば「理解編」でした。今回からはいよいよ「解決編」となります。

■■ 理解するだけでも、
これから解決編をご一緒に考えていきたいと思います。しかし、まず最初にお話ししておきたいことがあります。それは、指導する親や大人自身のコンディションが大切だということです。これが今回のテーマです。
 第一に、これまで繰り返し説明してきたことですが、若者の言動の背後にある息切れ部分を、まずは指導者が理解するだけでもかなり違ってくるということです。新たなねぎらいと、不用意に刺激しない配慮が生まれ、微妙にかかわり方が変わっていくのです。
 実は、非行少年が背伸びと息切れの強力な悪循環を形成するように、親もまた、同じように悪循環を形成します。というのも、こどもが壁にぶち当たり息切れ状態になると、本人ばかりでなく、親のほうでも、「気のゆるみ」「努力不足」と見なして、叱咤激励をします。叱咤激励を受けた本人は、この事態を打開するために、従来以上にやみくもに頑張ろうとしますし、親も頑張らせようとします。その結果、本人の息切れ状態は深刻なものになっていきます。このようにして強力な悪循環が形成されていきます。ですから、もし親自身の、少年への関わり方が少し変わるだけでも、この悪循環が解きほぐされ、変化が生まれやすくなるのです。
 また、彼らの息切れを理解するといっても、それを口にすれば良いというわけではありません。彼らの感情を多少とも感じ取ることができるのであれば、それを言葉にしなくても(あるいは言葉にしないからこそ)不思議と相手に伝わり、相手との関係が変わっていくのです。

■■ 思いめぐらす
 第二に、指導者が自分の努力や情熱さえかければ、すぐになんとかなるはずだとは思わないことです。どのような問題であっても、この時期、この在り様で現れることには、意味があると思うからです。
 これまでの家族の歴史があり、本人の頑張りと息切れの歴史があるはずです。そこには、各人が良かれと思って行動してきた積み重ねがあります。ある時期は、ああするしかなかったという事情もあります。だから、いたずらにこれまでを後悔する必要はありませんし、また頑張って一気呵成になんとか挽回するのだといきり立つ必要もありません。それでは新たな背伸び・強行突破の息切れ状態を生じさせるばかりです。もし自分に誤りや失敗があったと思うのなら、それは神の前で悔い改め(時に人の前で告白し)、その後は、むしろ、自分に与えられたこの問題には、さらに新しい意味があるのかもしれないと思いめぐらすことが大切だと思います。動き回らずに、瞑想するような心持ちです。あなたが信仰者であろうとなかろうと、背後には必ず神の計画が働いているからです。たとえば、家族の成長のために、あるいは親や大人自身の自己点検のために、そして自分の思惑を超えた人生の摂理を感じるために、絶妙な立ち止まりの機会を与えられることがあるからです。

■■ 必ず脱出の道がある
第三に、今の問題には必ず出口があるのだと希望をもつことです。特に非行問題は永遠に続くものではありません。案外知られていませんが、非行を繰り返し、少年院などの出入りを繰り返しても、必ずしも刑務所には行きません。暴力団などの職業犯罪組織にさえ加わらなかったら、自然と二〇歳前後には、非行から離れていく若者が大半です。
 なぜなら、同年齢の者が高校を卒業する頃になると、非行少年のかなりの者が仕事に落ち着くようになり、同年齢の多くの者と比べても、経済的にはそれほど遜色がのない生活が送れるという実感を得ますし、真面目だった者が大人びた遊びをするようになるので、無理に大人びる必要もなくなるからです。このように指導者の努力とは別に、周囲との関係性が変わり、二〇歳前後になると、確かに学歴などによって生じる無力感や疎外感は弱まっていきます。そして、良い意味で開き直ることができるようになるので、自分の現在の境遇を受け入れやすくするのです。
 ある非行カウンセラーは、非行少年への働きかけとして、本人がある程度成長するまでは「時間かせぎ」をし「差し水」をすることを勧めています。これなども、諦めるのではなく、解決への希望を持つための、ユニークな励ましになっているように思います。










| ふじかけ | 連載:背伸びと息切れの 時代(非行エッセイ) | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
スポンサーサイト
2020.01.23 Thursday 17:10
| スポンサードリンク | - | - | - | pookmark |
Comment
name:
email:
url:
comments:
Trackback
トラックバック機能は終了しました。
Search
Profile
Recommend
Recommend
Recommend
Recommend
Recommend
雨降りの心理学 雨が心を動かすとき
雨降りの心理学 雨が心を動かすとき (JUGEMレビュー »)
藤掛 明
雨の心理的イメージを鍵に、雨の降る物語を読み解く。カウンセリング論であり、人生論でもある。
Category
Archive
Latest Entry
Recent Comment
Recent Trackback
Links
Admin
Calendar
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< January 2020 >>
記事分析
アート情報
Sponsored links
Mobile
qrcode
無料ブログ作成サービス JUGEM