放蕩息子のその後の物語
2016.12.09 Friday 10:37

今日の学部の授業「キリスト教カウンセリング論」で配るレジュメ(4枚)を書いたので公開。

これまで映画を5本見ながら、依存症を考えてきた。6回目は、依存症のまとめ。

 

最終結論は、依存行為は現代人の偶像礼拝であり、本来手段だったものが目的にすり替わってしまった、というもの。

その結論前に、今コースでは、聖書のなかの依存症的人物をとりあげることにした。

それが放蕩息子のたとえ、である。

論点は、放蕩息子が父の元に返ってきた後、どのようなことが起きるのか。

弟が依存症だったと実験的に仮定して、考える。

 

以下、レジュメ。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 聖書:ルカによる福音書15章11−32節(新共同訳・「放蕩息子」のたとえ)

 

 

 

放蕩息子のたとえ話は、神の愛を示した有名で美しい物語である。ここでは、実験的に、もし弟の「放蕩」を依存症から考えたらどうなるか考えたい。

 

  「ある人に息子が二人いた。」

 

‘鷽佑梁子。きょうだい関係をめぐるドラマの予感。
二タイプの人間。あるいは人の生き方の二つの要素も比喩的に語られる。

 

 

弟の物語
「放蕩の限りを尽くして、財産を無駄使いしてしまった。」

 

D錣龍烈な突進。通常の範囲を超えている。これは同時に兄が親好みの成功を(表面的には)していることを示している。兄と弟は活躍する領域を棲み分ける。
ちなみに、兄は、逆に弟との競争に勝ち、支配と決まり事で自分の世界を築いていた。表面的には大人びていて、周囲からの評価(優劣)を気にしているため、そつない。内心は幼く、勝ち負けにこだわる。
弟は兄に負けていると感じ、兄は勝ちつつも弟に勝ちキレていない感じ。
つ錣郎盪困鬚發蕕辰燭、そこには目的がない。放蕩で一気に使い尽くしてしまう。自己コントロールがまったくきかない。▼依存症的。
ツ錣録討鯲∪擇辰討い襦8瀕。生前贈与もおかしいし、監督されることを徹底的に嫌い、牧畜などの財産を換金し、親元から遠く離れる。▼依存症的。

 

 

「そこで、彼は我に返って言った。」

 

  Πいことが重なる。豚の意味。孤立の極致。もう一つ言えば肉親の尻ぬぐいがない世界。(おそらくは、家出前、放蕩に近いメカニズムの問題行動が反復されていた。そして尻ぬぐいを受けていた。)
  ひたすら堕ちていく。「底付き体験」へ。

 

 

「息子と呼ばれる資格はありません。雇い人の一人にしてください」と。』

 

О預絃票圓亮覚・転回点。(信仰ならば、回心)
   父の元に返る。(信仰ならば、神の元に返る。)

 


 「「死んでいたのに生き返り、いなくなっていたのに見つかったからだ。』そして祝宴を始めた。

 

転換した人の特徴。弱さの自覚。謙虚。日々自覚して生きる。
服=社会的地位、役割。指輪=権威、信用。くつ=自由。奴隷でない。
  「死んでいた」「なくなっていた」と「生き返り」「見つかった」という比喩
    信仰を持つ。神の子として生まれる。知識は最小限。
    依存症者の場合も似ている。新しい生き方。

 

 

兄の物語

 

「 ところで、兄の方は畑にいたが、家の近くに来ると、音楽や踊りのざわめきが聞

 こえてきた。そこで、僕の一人を呼んで、これはいったい何事かと尋ねた。僕は

 言った。『弟さんが帰って来られました。無事な姿で迎えたというので、お父上

 が肥えた子牛を屠られたのです。』兄は怒って家に入ろうとせず、父親が出て来

 てなだめた。」


 弟へのライバル心、むき出し。
父へも不信。なぜ兄は宴会の招待を受けていないのか。おそらく些細な事情。しかし、余裕がないとき大きな被害感になる。

 


「 しかし、兄は父親に言った。『このとおり、わたしは何年もお父さんに仕えていま
 す。言いつけに背いたことは一度もありません。それなのに、わたしが友達と宴
 会をするために、子山羊一匹すらくれなかったではありませんか。
 ところが、あなたのあの息子が、娼婦どもと身上を食いつぶして帰って来ると、肥
 えた子牛を屠っておやりになる。』

 

依存症者と真逆。極端すぎ。コントロールしきる。親の意向を表面的に守る。見た目は人に囲まれ、豊かだが、内実は孤独で、窮屈な世界に生きている。周囲からの評価には敏感。ただし、父に不満を吐露できたことは大きな前進。

 すると、父親は言った。『子よ、お前はいつもわたしと一緒にいる。わたしのも
 のは全部お前のものだ。だが、お前のあの弟は死んでいたのに生き返った。いな
 くなっていたのに見つかったのだ。祝宴を開いて楽しみ喜ぶのは当たり前では
 ないか。』」
A‥失敗がたくさんあったけれど、自分の無力感、孤独感を自覚し、神の元に返る決意をした人、
B‥そこそこ頑張ってきたけれど、自分の優越を主張し、心を開かない不満だらけの人
二人(二タイプ)を比べたら前者のほうが豊かな人生が待っているのでは?

 


さて、ここで質問。
放蕩に依存し、しかし、底付きを体験し、父のもとに帰ってきた「弟」はその後どうなったか。また兄はその後どうなったか。

 

 

 

弟が依存症的であると仮定すると

依存症的な生き方は一生残る。

 

 

→弟のその後の物語3つ

 

1)依存症的な生き方を日々認め、たんたんと安定した生活を送る。
【理想。そうは上手くいかない】

 

2)放蕩依存から仕事依存にシフトしていく。無謀な失敗をときおりするがその都度悔い改めていく。
【上手くいく場合、一番ありそうな展開】

 

3)失敗を繰り返していく中で、自己コントロールできず、家出、放蕩、賭博、大酒など、崩れを大きくしていく。
【上手くいかない場合、ありそうな展開】

 

 

→兄の物語。

弟の成功・失敗。父の評価。そのつど一喜一憂。
表だった失敗はいずれにしろない。

 

1)父や弟に自己開示し、徐々に成長し、自分の人生を作っていく。
【上手くいく場合】

 

2)父や弟に不満をため、孤立していく。
【上手くいかない場合】

 


講師の遊び心的、その後の物語を披露する。

 

 

もどってきた弟は家の仕事に就き、熱心に働いた。
失敗はたびたびあったが、その都度なんとか自己修正した。
兄は、父にも,弟にも、すこしずつ自分の不満などを伝えることができるようになり、
口論などがたびたび生じたが、兄はそれなりに満足感があった。
ある日、ささいなことで弟と激しい口論になり、はじめて大きく負けた。
翌日、弟の姿が消えた。必死に探したが見当たらない。

その翌日は範囲を広げ、探し回ったが見つからない。
周囲の人たちは弟がいたこと自体を知らないという。
兄はようやく悟った。
弟はもう一人の自分であったのだと。そして今は自分の心の中に住んでいるのだと。

 

以上。

 

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