この信仰問答集は、ツボを押してくれる
2018.01.28 Sunday 22:32

思い出す言葉(11)

 

  「21世紀信仰問答供廖淵リスト新聞社刊)は魂のツボを押してくれる。

 

 一発勝負で、それも短い文章で相手の悩みを聴き、そしてこちらも一発勝負で返す。
紙面の人生相談の作業は、実に大胆である。

 

昔は、紙面の人生相談の魅力は、その当時の社会の相場を教えてもらうことだった。
たとえば、「うちの旦那は暴力的だが我慢すべきでしょうか」→「生活費を入れてくれるなら我慢しな!。それが社会の常識」といったふうに実に歯切れが良かった。

ところが時代とともに、この人生相談も心理カウンセリングの影響を受け始める。社会の相場だけでない、個人の気持ちを問題にするようになる。たしかに相場を示すのでよければ、自信に満ちて、断言することができる。しかし、個人の気持ちを問題にするとなると、それも一発勝負となると何も言えなくなる。ただ、このような回答者の無力感は大切で、相談者に「結局、それはあなたが決めることです」というメッセージを伝えることに成功するからである。

 

このキリスト教界の人生相談本は、「教会では聞けない」というフレーズを付けている。それは、
良い信仰者は、疑問や懐疑を抱かないという妄想が横行しており、教会でこんな質問や相談をすること自体が恥ずかしい、ということを指しているのだろう。

 

だからこういう本こそ、回答者が、教会の相場ではこうだと自信に満ちて断言しないことだ。むしろ、回答者は、これは回答が難しいと、自信なげに言わなければならない。いや言うのではなく、自信がないことを言外にオーラで伝えられたら完璧だ。そして回答したけれど、いろいろな選択肢があるので、回答者の回答がすべてだとは思わないでよね、とやはり伝えられたらなお完璧だ。

 

本書の魅力は、快刀乱麻にならず、個々の回答者が謙虚に回答しているところだ。そして、回答文を通して、選ぶべき選択肢が見えてくるのではなく、選び得る選択肢が本当は多くあることを感じさせてくれるところにあるのだろうと思う。
 

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