アートセラピーとコラージュ療法
2018.08.20 Monday 18:26

 

 

コラージュ療法を大きな流れのなかで考えてみる。

 私のコラージュの独自性というか立場というか。少しメモしておく。

 

 

(1)「日本のコラージュ療法」の独自性

 

日本におけるコラージュ療法といった場合、草創期から理論・実践に牽引者となっている森谷寛之氏の解説から確認していきたい。

 

森谷氏が代表を務めるコラージュ療法学会のHPに、氏による日本のコラージュ療法の解説が端的になされている。

 

「コラージュが心理臨床分野へ導入されるようになったいきさつははっきりしていない。 ピカソがコラージュを言い出す前に,精神病の患者は自ら今日ではコラージュとされる作品を自発的に作っていた。しかし,その重要性には気づかれなかった。 最初は,1970年代初期,アメリカで作業療法のひとつとして導入されたらしい。後に芸術療法としても取り入れられるようになったようである。」

 

歴史的にみるとコラージュ制作を継続的に行うようなものは報告されておらず、作業療法のひとつとしてなら記録がある。

 

「アメリカやヨーロッパでは,様々な芸術的技法が使われており,その中の一つとしてコラージュも使用されている。しかしながら,それだけを特別に「コラージュ療法」と呼ぶことはないようである。諸外国ではその起源がはっきりせず,多くの芸術療法のひとつという位置づけである。」

 

そして欧米の芸術療法と根本的に違いがあることを指摘し、

コラージュ療法は,諸外国の方法が日本にもたらされて発展したというのでなく、日本において独自に発展した、とする。

その通りである。

 

(2)海外のコラージュ療法の発想

 

しかし、海外でコラージュ技法が心理療法の場で使われていないかとなると、そうではない。森谷氏も指摘するように「様々な芸術的技法が使われており,その中の一つとしてコラージュも使用されている」のである。

 

鈴木恵氏は、海外(ここではアメリカ)の即興的なアートセラピーのあり方を擁護する立場から、次のように述べている(「アメリカにおけるコラージュ療法」59-66。現代のエスプリ386・コラージュ療法)

 

「米国における、一連のアートセラピーの面接場面でコラージュを一つの道具として使用することは良くあるが、筆者の知る限りでは、それだけを取り出して、「コラージュ療法」ととりたてて呼んでいる人はいない」

 

そしてその姿勢というか発想として次のような意味があることを端的にまとめている。

「米国では「コラージュ療法」と名付けることによって、かえって発想の自由が奪われ、アートの持つその本質的創造性が失われてしまうのではないかと考えられているように 思える。アートは試行錯誤を繰り返すことによって既成概念を壊し、新しいものを創り出すところにその特質がある。」

 

このようにどちらにも独自の特徴があるものの、影響関係があまりないままに経過している。欧米のアートセラピーが心理系だけでなく、美術系の出身のセラピストが担っているのに対して、日本ではほぼ心理系出身者で独占していることにも関係しているように思える。

 

(3)私の立場

私の立場はシンプルにいうとアートセラピーの即興性、独創性を重視する。

しかし、日本的な静的な芸術療法も捨てがたい魅力がある。そこで欲張りかもしれないが、両者の交流、統合を目指している。少し大胆に言うと、旧来の日本的心理療法の枠を温存しながら、そこにアートセラピー的なものを接ぎ木していくことである。

 

ちなみにこれまで、その趣旨からいろいろなネーミングもしてきた。

 

 峪にコラージュ」 

コラージュの面接を毎回することを前提としなくても良いことを浸透させるために、使った言葉。

 

芸術療法派と アートセラピー派

日本的な芸術療法(ひとつの技法に限定して実施)を実践する人たちを「芸術療法派」とし、他方、多彩な方法を駆使し、その一部としてコラージュを即興的にアレンジして使う人たちを「アートセラピー派」と名付け、両者の発想の違いを強調した。

 

2霪的アプローチ

アートセラピー派の即興性に着目し、「介入的アプローチ」と名付けて、いくつかのカテゴリーに分け、それぞれに相当する事例を挙げたこともあった。

 

最近では、アートセラピーの即興性・独創性の発露として、無限に実施法を生み出すのであるが、それらを変法として位置付け、日本のコラージュ療法がそうした特性をもっと積極的に取り入れる道筋を作りたいと考えている。

 

 

 

 

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