連載:質問にこたえて
2006.12.06 Wednesday 21:40
背伸びと息切れの時代・第14話(最終回)
「質問に答えて」

 最終回までおつきあいいただき、ありがとうございました。今回は、非行問題について、よく受ける質問についてお答えします。

■ 非行の危険信号は?
非行に走る若者は、次々に多彩なエピソードを引き起こします。彼と関わる親やその他の大人たちは、非常な危機感を抱くことになります。しかし、非行には、反抗期という子どもから大人に向かう際の、健康な成長の性質も色濃く有しています。冷静に、非行の進み方をとらえることは意外と難しいものです。
 非行の進み方の外的な判断ポイントとして、「保護領域からの離反」を見ます。保護領域というのは主に親元での生活が大前提になっているかです。無断外泊が続いたり、いざとなったら寝泊まりできる不良仲間のたまり場などがあると注意信号です。次に、「不良集団への所属」も大きなポイントです。暴走族、地域の不良集団、暴力団など、凝集性のある不良集団の中や周辺にいるとしたら危険信号です。
 内的な判断ポイントについては、これまで連載で扱ってきたものです。将来の見通しがバラ色すぎることや、後悔するが悩まないことなどがそれです。
 よく、親への暴言や服装、喫煙など個々の荒れにばかり目が向いてしまい、生活全体の崩れについては鈍感になることがあります。親としては、二〇も三〇も子どもに止めてほしいこと、変えてほしいことがあるものですが、その中で特に優先度の高いものが何であるのか見分けていくことが肝心です。

■ カウンセリングを受けるにはどうすれば?
非行カウンセリングを受けるにはどうすればよいでしょうか。まず誰がカウンセリングを受けるのかという問題があります。多くの場合、本人にカウンセリングを受けさせたくても本人の抵抗があって成立しません。むしろ、非行の若者といかに関わるのか、親や関係者が相談室に行くことが一般的です。
 もう一つの問題として非行の相談を受けてくれる相談室を探すという問題もあります。非行は扱わないという相談室がけっこうあるからです。まず全国にある少年鑑別所には、任意の外来相談窓口がありますので、そこに電話で予約し、相談をする手があります(無料です)。同じように警察関連機関にも同様に無料の窓口があります。「少年補導センター」など、地域ごとにいろいろな名称が付けられています。
一般の心理相談室でも非行相談に対応してくれるところもあります(ただし有料)。探すには「臨床心理士に出会うには」(創元社)という本が便利です。そしてもっと便利なのが、まったく同じ内容を見ることのできるコンピュータのサイトです(www.jsccp.jpのページから検索ページに進むことができます)。相談にあたっての注意書きまであって親切な内容になっています。

■ 実際に相談を始めたら
実際に相談を始めたら、目の前の問題をどうするかと同時に、神様が今、非行問題を通して、親や関係者の生き方自体をも取り扱おうとされ、新しいことを教えようとしているのだということも考えてみる必要があります。非行問題とのかかわりの中で、指導者である自分が、自分の持つくせや歪みを点検し、成長していくことが必ず起こるからです。

■ 更に学ぶための図書
この連載と同じ視点で書かれているものとして、拙著「非行カウンセリング入門」(金剛出版)をまずお勧めしたいと思います。「現代の少年非行〜理解と援助のために」(荻原恵三編、大日本図書)も読みやすい好著です。
関連領域として、人格障害を扱った「パーソナリティ障害」(岡田尊司著、PHP新書)、ひきこもり・家庭内暴力を扱った「社会的ひきこもり」(斎藤環著、PHP新書)は良書です。また、依存領域では、ギャンブル依存を扱った「ギャンブル依存」(田辺等著、NHK新書)、アルコールを始め依存全般を扱った「依存症」(信田さよ子、文春新書)もお勧めです。

■ 最後に
最後に、信仰者の親として日頃から、気を付けていたいことがらについて触れておきたいと思います。
 まず、自分自身が、聖と俗、建前と本音の二元論にならないように、本音を表現し、交流できる人間関係を持つことが大切です。同じような問題を抱える人たちと互いに耳を傾け合うような関係が持てれば理想的です。逆にきれい事や理想論だけで済ませてしまうようなところがないか自己点検することも大切なことです。
 次に、親として、子にも周囲にも、頑張って努力する姿と、頑張らずにリラックスする姿の双方を示すことも大切なことだと思います。
聖書は、競技者に「賞を受けられるように」(1コリント九、二四)一〇〇%頑張って走れと語りますが、同時に、「競争は足の早い人のものではなく」、時と機会によるものである(伝道者九、一一)と一〇〇%神に委ねるセンスを問うているのです。

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