山口母子殺人事件と心理カウンセリング
2007.09.23 Sunday 18:34
 先週は偶然にも、山口でおきた母子殺人事件について、3人の方から、メールや直接、質問をいただいた。動機の供述の豹変について、である。

 犯罪にかぎらないが、私は人の動機、理由、意味というものは、複数、それもかなりの数、同時に存在していると思っている。たとえば、窃盗者のカウンセリングの難しさは、窃盗ほど動機が多義、多層に存在している難しさであると思っている。

 精神鑑定者、心理鑑定者としては、いくつもある動機を汲み取っていくことになると思うが、いす
たとえば殺人や性犯罪などで、それをすると、意味の多層の下の層にいけばいくほど、犯罪加害者が自覚している意味とは違う意味、動機にいきつく。性犯罪であれば、母性への甘え、はたまた女性への敵意など、いくつかのものにいきつく。
 今回、犯罪加害者の彼が語った動機などについて、中心ではないがうそではないものというのがあると思う。マスコミが言うように、まったくの作り事とは言い切れない。そこがやっかいなところ。

 しかし、そうした多層の下のものは、治療上は大切でかけがいのないものだが、現実原則の法的制裁の判断には必ずしもなじまない。山口の事件では、弁護側に弁護の手がなくなっていたので、仕方なく、そういう多層の下の意味にとびついたのだと思う。しかし、多層の下の意味は、カウンセリングのようにゆっくりと本人のペースで、本人の私的言葉で腑に落ちてもらわないとならない。弁護人と打ち合わせ、現実戦略としてそれを与えられてしまうと、それはかなり反治療的になってしまう。

 今、法科大学院の院生に非常勤講師としてかかわっているが、最初のほうでは、「多義性」の発想方法、「多義的な」人の心の理解方法を、演習式で行っている。「多義性は、法律にはない、しかし臨床心理学では鍵となる考え方なので、法曹家になって10年くらいたって、思い出してほしい」と言っている。
| ふじかけ | 日記 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
スポンサーサイト
2020.10.17 Saturday 18:34
| スポンサードリンク | - | - | - | pookmark |
Comment
name:
email:
url:
comments:
Trackback
トラックバック機能は終了しました。
Search
Profile
Recommend
Recommend
Recommend
Recommend
Recommend
雨降りの心理学 雨が心を動かすとき
雨降りの心理学 雨が心を動かすとき (JUGEMレビュー »)
藤掛 明
雨の心理的イメージを鍵に、雨の降る物語を読み解く。カウンセリング論であり、人生論でもある。
Category
Archive
Latest Entry
Recent Comment
Recent Trackback
Links
Admin
Calendar
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
<< October 2020 >>
記事分析
アート情報
Sponsored links
Mobile
qrcode
無料ブログ作成サービス JUGEM