「犯罪・非行とコラージュ療法」
2010.03.24 Wednesday 16:45
 コラージュ療法とは、雑誌やパンフレットなどの既存の印刷物を自由に切り取り、台紙に思いつくままに貼り付けていく描画技法である。「コラージュ」という名前は、「糊で貼る」(coller)という意味のフランス語に由来し、元々20世紀初頭に誕生した美術技法を心理療法に適用したものである。日本では1987年に森谷が箱庭療法から着想し、以後、本格的な導入、展開がはかられている。

 犯罪・非行臨床におけるコラージュ療法の特徴として、美的満足感を味わえることが容易であり、自己表現に際して負担感が少ないことがあげられる。一般のアートセラピーが、いわば砂場遊びやお絵描き遊びの幼児になることを誘うのに対して、コラージュの場合は、大人の美術家になれる魅力がある。


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グリーフ・カウンセリングとアート(抜粋版)
2010.03.23 Tuesday 16:27
*最近書いた論文を、事例部分および事例関連部分を完全に除き、抜粋版として掲載する。

グリーフ・カウンセリングとアート 
                  〜遺族のアート的体験に注目して

はじめに

  筆者は長らく犯罪・非行臨床の世界に身を置いていた。2003年に現在の研究職に転じた際、同時にグリーフ・カウンセリングを標榜する私立の心理相談室での面接活動も始めた。犯罪・非行臨床も、カウンセリングとしては独自性を多く有しているものであったが、新たに身を置いたグリーフ・カウンセリングの世界もまた独自なものであった。

 最大の特徴は、グリーフ・カウンセリングの対象者(遺族)が、本当の意味で死の問題に直面し続けているということであった。これは当たり前だと言われればそれまでであるが、それでも、大切な特徴であると思う。たとえば、近接の領域にターミナル・ケアがある。しかし、これは自らの死を扱うのであるが、この場合、いかにして充実した死をもつかを問うことになるので、実は、生の問題を扱っているのである。ところが遺族の場合は、すでに死んでしまった故人をどうするのかと悩んでいるのであり、まさに死の問題を扱い続けている(野田、1992)。

 とりわけ、自死(自殺)遺族の場合は、その死の衝撃性、不条理感、公認されない性質などを背景に、遺族を病的悲嘆や種々の二次的被害に追い込まれる危険性が大きく(平山、2008)、専門的な手当を特に必要としている分野であるといえる。また、その手法として、遺族の思慕や追悼、怒りや自責感情の表現を安全なかたちで行えるアートセラピーは非常に適しているものと考えられたのである。


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グリーフケアの、コラージュ
2010.03.22 Monday 20:09
 今回、グリーフケアで、コラージュを使った文献を探したが、…といっても、邦文(翻訳含む)、自宅にあった本を探した程度だけれど、意外と見つからなかった。きちんとした事例では次の2つ。日本人のものは見つからなかった。グリーフケアのグループで、コラージュを作ることはけっこうあると思うが、論文にはしていない、ということかな。

ランドガーデン(1993)。
母親が末期癌患者となった男性の事例を報告しているが、ここではコラージュ制作を通して、クライエントが差し迫る母の死を直視するようになり、悲嘆と哀悼の準備ができたことを考察している。

ユング,M(1985)。
父親と死別した遺族に、故人の絵を描いてもらい、それを綴って本を作るというアートを導入した事例を報告している。ここでは、本づくりというアート作業の結果が、現実に存在し、境界があり、開けることも閉じることもできるものとして遺族に体験され、また、故人とは会いたいときに会えるというメタファーになっており、故人との新しい関係性を創造したものとみることができる。

…グリーフのコラージュの文献情報ある方は教えて−。

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コラージュを作ろうとされる方へ
2010.03.17 Wednesday 13:12
 コラージュを作ろうとされる方に、簡単なアドバイスを。

 ここでいうコラージュは、心理療法のコラージュのこと。

大原則(1)なにをしてもまったく自由

コラージュとは既存の写真やイラストを、自由に集め、自由に選び、自由に切り取り、自由に並べ、自由に貼り付ける作業です。

描画技法辞典:「コラージュ」

台紙は、A4版からB4版くらいが一番人気がありますが、台紙のサイズも自由です。クロッキーブックのようなものに貼っていく方もいます。
また紙皿や空箱に貼ることもOKです。

大原則(2)すこし不自由なほうが創造的になれる

制作時間も自由なのですが、あらかじめこれこれの時間内に作ると決めておいたほうがいいでしょう。小さいサイズなら、20〜30分。大きいサイズなら、30〜60分がひとつの目安になります。

また貼り付け素材ですが、この調達方法も自由です。
最初のうちは、街で、無料のパンフレットや雑誌をもらってきましょう。家電店、スーパー、デパートなど、ざくざく無料の素材がもらえます。通販のカタログ雑誌もあなどれません。
図書館によく足を運ばれる方は、廃棄雑誌をもらう手もあります。
コラージュ仲間を作ってしまえば、仲間から雑誌を潤沢にもらうことができます。

コラージュ「ボックス」
カメラ屋とコラージュ・ボックス
飛行機とコラージュ療法
コラージュ素材、収集の旅?


ただ、莫大な素材数を確保することには鈍感になりましょう。
貼り付け作業も、多少不便で、窮屈な環境のほうがよいのです。

大原則(3)作ったあとも大切

コラージュ作品を作ったら、台紙の裏に、作成日、作成の感想などをすぐに記載します。
また、保管の方法を決めておきます。クリアーファイルとか、保管箱とか、なんでも自由です。
というのも、後々、作品を散逸したり、いつ作ったかわからなくなるということが必ず起きます。
作品は、後々、眺めなおすと、またいろいろな発見があります。

また、自分の作品を、他人に見せて、語ることは大切なことです。自問自答よりも、いろいろと連想が広がっていきます。同じ意味で、素朴な感想を見せた人からいただくことも大切です。


…まあ、大原則3つをあげましたが、この3つを完璧に守らなくてもあまり気にすることはありません。なにせ第一原則が<なにをしてもまったく自由>なのですから

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年賀状ソフトで、ハガキコラージュを
2010.01.21 Thursday 21:51

   今日の午後、コラージュ・ワークショップで、最後の方で講義をした。その要約をコラージュにして参加者に差し上げた。

 …今回のサイズはハガキサイズ。実は、これは年賀状ソフトで作ってプリンターで打ち出したもの。貼り付けた写真のうち2つは、ネットでフリーの写真を使い、残りのひとつは、このブログに載せた携帯写真を使った。

 会場で、配布するのに、カラーコピーで作品を用意するよりも、この年賀状ソフトでプリントアウトのほうが、^造ぁ↓△手軽、である。

 お勧めである。

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カラー・コラージュのハードルを下げる
2010.01.04 Monday 17:30
 コラージュを、あらかじめ同じ色彩グループの素材で作ってしまう方法がある。青系が前面に出ている写真素材だけで、作品を作ったりする方法である。
 →過去のブログ記事:色彩とコラージュ

 この最大の欠点は、準備が大変だということ。あらかじめ黄色系、赤系、茶系、緑計、黒白系、青系などと、それらが全面を覆うかのような写真素材を、一定数切り集めておくのだから手間がかかってしようがない。

 そこで、そうした手間を省く、バリエーションとして、指定の色が全面を覆わなくとも、部分でも、ピンポイントでも、その色がうまく使われていれば良しとすることにしてはどうだろうか。そして最初から、色系統で分けることもしないで…。もちろん作者はあらかじめ特定の色彩での制作を意図するのだが。

 色彩の語るインパクトは激減するが、作者の色へのこだわり、意味づけは保てるような気がする。

*まだこの方法は試していない。昨年の手帳をしまうに際して、アイデアメモを読み返し、いくつかのものをブログにピックアップすることにした。ただのアイデア…。





 
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質問に答えて:コラージュ作品に対する質問
2009.07.30 Thursday 10:57
 質問:藤掛先生が以前講義で、コラージュ作品を前に、〆酩覆涼罎念貳峭イな写真はどれですか。⊆分に似ている写真はどれですか。という二つの質問を紹介していましたが、どのような意味がありますか。

 コラージュ作品は、作成者本人に自由に語ってもらうのが大切です。また、語られやすい技法でもあります。
 ただ、そうならないときに、相手の大切な世界を引き出す質問として、いくつかの例をあげたわけです。
 
 「一番好きなものとその理由」というのは…

 答えやすい質問の代表です。また、一番好きとした写真は、その人の一番重要な情報が出てくる可能性が高いと考えられます。

 「自分に似ているものとその理由」というのは…

 やや答えにくい質問ですが、この質問に答えようと相手が考えるだけでも、コラージュの画面の写真が、自分自身の(比喩的に)分身であることを感じてもらう体験になります。
 そのなかで、あえて特定の写真を選んでもらえれば、比喩的に、「どんなところが自分に似ているのか」を考えていく流れを作ることができます。
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絶体絶命のコラージュ療法演習!
2009.05.13 Wednesday 20:40
  今日は、「キリスト教カウンセリング論」という授業で、コラージュ療法の演習を行った。

 130名近くの学生。しかし、教室は、机に椅子が固定されている。90分の授業で、時間を節約するためにもボックス法で行うのだが、写真の切り抜き素材を別個に置くスペースもないし、そもそも100人以上の学生が動いたら収拾がつかなくなる。空き席が少なく、通路も狭い。窮屈な空間だ。

 今日の方法!


そう、教室の出入り口など5カ所に、指示を張り出した。

授業開始前がちょうど昼休みなので、入室してきた学生が順次、コラージュ素材を取って、着席するようにした。これで混雑を緩和。実際には、ぎりぎりで来た学生や遅れてきた学生もいたのだが、そうした人たちも順次、素材を取ることができた。

もう一つ。1枚だけの写真を、ハガキ台紙に貼ることにした。

こうすることで、素材を丹念に選ぶのでなく、短時間で選べるために、狭い空間での混雑が緩和された。また最前列(2列)だけを素材置き場にするのがやっとだったので、素材枚数の消費がある程度押さえる必要があった。



 こんな感じで、並べた。この机、斜めの角度がついていて、すべり墜ちるので、あわてて手前辺にセロテープで滑り止めを作った。

 そして、1枚だけのハガキコラージュを作ってもらった。
 その後二人一組で、質問事項が書いてある記入用紙を使って、互いに質問し合い、わかちあいのときを持った。

 … ハガキ・コラージュ(写真一枚法)のデビュー!
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「てんこ盛り」コラージュ
2009.03.28 Saturday 09:52

1. 「てんこ盛り」コラージュとは
 コラージュ療法では、系列的理解が大切である。まとめとして、継続面接の最後や節目に、シリーズで作ってきた作品を机の上などに並べ、その流れを概観することがある。また、概観するなかで過去の作品にあたらしい意味を見つけることもある。
 「てんこ盛り」コラージュは、そうした体験を濃縮させる変法である。

2.方法
(1)シリーズ全作品(あるいはいくつかの作品)のカラーコピーをとる。
*2〜4枚くらいが適当な作品数。それを越える場合は、いくつかの作品に絞る。最初の作品は含めるようにする。
*カラーコピーが使えないときは白黒コピーでも可能。ただしおもしろさが激減。会場にカラーコピー機がなくとも、近くのコンビニにだれかに走ってもらえばなんとかなる。使用する台紙サイズにもよるが、コピー時に縮小をかける工夫もある。
(2)台紙サイズは大きめにする。実施例:ハガキサイズ作品2つ。A4版サイズ作品2つの合計4作品を選択。90%縮小コピー。新たに使う台紙はB4版。
(3)コピーしたものをはさみで切り分ける。重ねて貼った部分などがあった場合、本人が一番良いさじ加減で切る。
(4)上記で切った素材を再度使って、新しいコラージュ作品1枚を作る。
*なるべくスタンバイした素材はすべて使うことを目指してもらう。ただ、写真素材(コピー)の輪郭を切って変えたり、素材の一部分だけを切り分けて使うことは、まったく自由。
(5)完成した作品を味わう。加えて、同じ素材でも、過去に使用した時と、今回とで意味づけが異なったものを味わう。

3.留意
時間がかかる。通常、コラージュボックスで20〜30分で作っている人が、この「てんこ盛り」コラージュを作る場合、倍の40〜60分は時間を用意する必要がある。また、自分のシリーズを振り返るわけなので、さらに時間を用意し、余裕を持たせられれば理想である。

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レジュメ:コラージュ療法ワークショップ(福岡編)
2009.03.11 Wednesday 12:16
*福岡ワークショップで冒頭に配布したレジュメ(A4版、3枚)
 

【コラージュ】

コラージュ法は,近年,個人心理診断や療法の有力な方法として注目され,様々な臨床分野で,創意工夫がなされている。“的満足感、自己表現の負担感がない、∈胴柔、未来志向、設備などが不要、ぅ▲譽鵐犬許容されている、グ汰汗、などの特徴を有している。

美術においては、たとえば写真、新聞からとったイメージや文字などを、もとの文脈から切り離して、組み合わせる手法を、フランス語の「coller(糊で貼り付ける)」を語源とする「コラージュ(collage)」という語で呼ぶようになった。20世紀に入り、ピカソやシュヴィッタース、エルンストといった前衛的なアーティストが、この手法を積極的に採り入れ、有名になる。

臨床でも素朴に昔から取り入れられてきたと思われるが、文献では1970年代、日本では、箱庭療法の携帯版の発想から、森谷(1987)が臨床への導入を提言し、以後爆発的に普及している。

 

【コラージュの方法】

■1 コラージュ・ボックス法

i.用意するもの。台紙(A4判・B4判),ハサミ,糊,あらかじめ雑誌・広告などから適宜切り抜いた写真・イラストを面接者が用意し,専用の箱(コラージュ・ボックス)の中に入れておく。

ii.教示。「ここにある切り抜きを自由に選んで台紙に貼り付けてください。置き方や貼り方も自由です。切り抜きをさらに切りたい場合にはハサミで切ってください。」

iii.時間の目安。15〜20分程度。

 

■2 マガジン・ピクチャー・コラージュ法

i.用意するもの。台紙(適宜,子供の場合B4判が適当),ハサミ,糊,雑誌・新聞・広告の紙・カタログなど(あらかじめ面接者側で用意する,あるいは作成者に2,3冊持参させる)。

ii.教示。「自分の気に入った写真(イラスト)や気になる写真を,自由に切り抜いて台紙の上に好きなように置いて,糊付けしてください。」あるいは「雑誌などから好きな写真や気になる写真を切り抜いて,好きなように台紙に貼ってください。」

iii.時間の目安。30分から60分程度。


 


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藤掛 明
雨の心理的イメージを鍵に、雨の降る物語を読み解く。カウンセリング論であり、人生論でもある。
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